こんにちは、ハイスキルなエンジニアのプレミアム転職サービス Findyとフリーランス・副業エンジニア向け 単価保証型の案件紹介サービス Findy Freelanceを運営する Findy の @ma3tk です。
昨年の「転職する時に必ずチェックしたい募集要項」がバズり、3万5000人以上の方に読んでいただきました。それだけ、エンジニアの方の転職には悩みが多いことを知り、その後の「Findy(ファインディ)」のリリースにもつながりました。
昨年の記事はこちら。
そこで、本日は「良い会社かどうかを見分けるためにどうするべきか?」について更に Findy リリース後のデータ解析や、実際に企業のエンジニア採用担当者に会う中で分かってきたことを踏まえて、「転職する時に必ずチェックしたい募集要項」を2017年版としてアップデートしたいと思います。
後ほど見分けるためのチェックリストもバージョンアップしたものを用意しました。
目次
良い会社とは、そもそもどんな会社でしょうか?
まず、良い会社とはどのような会社を思い浮かべるでしょうか。
自分としては、「働く個人が、充実した人生を送れる仕事ができる会社」が良い会社と考えています。
ちなみに、個人の ”充実した人生” とは千差万別なので、”良い会社” というのは人ぞれぞれです。もちろん、良い会社の傾向というものもあります。それは、どんな人がその会社で働きその結果、どんな充実した人生を送っているのか、またどんな人が活躍しているのかが明確になっている会社はいい会社である可能性が高いです。
なぜ募集要項(求人票)を見れば大体わかるのか
現在、 Findy というハイスキルなエンジニア向けのプレミアム転職サービスをリリースして、約半年が経ちました。
Findy では独自のアルゴリズムで解析したレベルの高い募集要項を出している会社に限定して求人を出しています。
これはもともとサービスをリリースするにあたり、エンジニアの友人から「会社が無数にあってどの会社が良いのか分からない。」「何か会社を見分ける基準になるものさしのようなものがほしい」という声をいくつかもらったため求人を限定しています。
そこで、日本中の IT/Web 企業 1500社の募集要項数万件を読み込んで、そして解析した上でランク付けしました。
詳細はこちら:
http://blog2.findy-code.io/findy-tech-company-top-100-201707
実際、ランキング上位を見ても、必ずしも全てではないですが、ある程度は求人票が良い会社は、友人から聞いた評判等も含めて良い会社が多そうというのが見えてきます。
(もちろん、求人票以外にも要素はたくさんありますが…あくまで傾向としてです。)
具体的に良い募集要項とは
というわけで、募集要項の重要性について書いた後はいよいよ本題に入っていきたいと思います。
では、具体的に転職する際に「良い募集要項かどうか見分けるためにはどうしたらいいのか」について、 8つほど例に上げてみます。
- エンジニアの職種はちゃんと分類されているか
- 募集要項を出した背景が具体的に書かれているか
- 仕事内容が具体的に書かれているか
- 必須スキルや歓迎スキルが明確になっているか
- 求める人物像が具体的に書いてあるか、エンジニアが嫌いな内容になってないか
- 表現が正確で、専門家の目線が入っているか
- 仕事の魅力が具体的に書いてあるか
- 開発環境が書いてあるか
昨年よりちょっと具体的になってきました…!w
※会社や業種、職種によって違いはあるので自分が考える一例です
※自分はエンジニアなのでエンジニアの求人の例として以下書いていきます
1. エンジニアの職種はちゃんと分類されているか
まずはタイトルに注目してみてください。「Web エンジニア」と曖昧に書いてある求人票は要注意です。
きっと、エンジニアの仕事はフロントエンドもサーバーサイドもインフラも全部同じで、ざっくり全部できる便利な人を採用したいという、エンジニアリング理解のない人が求人を書いている可能性が高いかもしれません。
当然、入社後も文字通り Web に関する全て、例えば Google Admin 等のクラウドツールの管理を始めとする社内インフラまで全てお願いされるかもしれません。
逆に、フロントエンド、サーバーサイド、インフラ、機械学習、iOS、Android など職種を分けて考えることができている会社および人事は信用できそうですね。
明確に分類されているということは、誰にどんな仕事をお願いしたいかがクリアになっている会社のはずです。本当に全部の仕事をやってほしいのであれば、”フルスタックエンジニア”と書くべきですし、その場合は当然、給料も高くなるはずです。
2. 募集要項を出した背景が具体的に書かれているか
例えば、
弊社のサービスの開発をしていただきます
と書いてあったところで、なにやるんだろう、というのが一切伝わってこない状態ですよね。
- そもそもなぜこの事業をやってるのか
- そもそもなぜこのタイミングでこの求人出したのか
- 現状のサービスのフェーズは?立上げ期なのか、拡大期なのか
- 他社と違ってどういうところに強みあるのか
- エンジニアリング周りでの強みや面白さはどこにあるのか。
例えば Findy 社の事例で言うと、単に、
ハイスキルなエンジニアのプレミアム転職サービス「Findy」の企画、開発、運用を担当いただきます。
だけだと、どこの会社でも言えそうなレベル感ですよね。
そうではなく、以下のように書くと会社の独自性ややりたいことが明確になってきます。
Findy は「未来をつくり出す全ての人をエンパワーメントする」のミッションのもとスキル偏差値を軸にエンジニア個人のスキルを可視化し、更にはエンパワーメントするサービスを提供しています。 本求人では、ハイスキルなエンジニアのプレミアム転職サービス「Findy」の立上げメンバーとして企画、開発、運用を担当いただきます。
いかがでしょう?
3. 仕事内容が具体的に書かれているか
次に、任される仕事内容が具体性もしっかりチェックしてみてください。
例えば、
・Web サービスのバックエンドの開発
と書いてあるだけだと、どんな言語やどんな技術スペックで開発されているのか曖昧で、具体的にどんなシステムなのかがわからず殆どやったことがない技術スタックでやる可能性が出てきます。
そうではなく、
・Ruby on Rails、MySQL、Redis、ElasticSearch を利用した転職サイトのバックエンド開発
とあるとより具体的です。
何を任せたいのか、具体化できていない会社は入社後に認識とズレが生じ、苦労する可能性があります。
4. 必須スキルや歓迎スキルがクリアになっているか
例えば
– Ruby、JavaScript、DB設計ができること
という必須スキルがあった際に、これでは「どの程度できる人が欲しいのか」がよく分かりません。
もっと具体的に例えば、
- Ruby は Ruby on Rails とかフレームワークの経験は必要なのか?
- それとも LL 系の言語で MVC アーキテクチャ触ったことあれば大丈夫?
- 開発規模がどの程度を想定しているのか?
というあたりが気になります。
気になることは挙げようと思えばもっとありますが、それぞれが、
- Ruby on Rails を利用した月間PV100万を超える規模のサービス開発経験
- React や Angular2 、 ES2015(ES6) を使ったフロントエンド開発経験
- MySQL によるデータベース設計と実装経験
まで書き込まれていれば、求めるスキルが具体的に見えてきて求職者側にとってわかりやすいですね。
ちなみに、
- 必須スキル:今回の職種で最初から絶対必要なスキル
- 歓迎スキル:今回の職種で持っていると内定率が上がるようなスキル
くらいに分けて書けているとなお良い求人です。
5. 求める人物像がちゃんと書いてあるか、エンジニアにとって嫌いな内容になってないか
端的に言えば、「どういう事を自分に期待してるの?」「どんな人だと会社にマッチしそうなの?」って事が書かれてるかどうかです。
少なすぎても定義しきれてないし、多すぎても求め過ぎだし、ってところで大体5つくらいになるのではないかなと思っています。個数はそこまで本質的ではないですが、きちんと求めてる人物像が書けていて自分に合いそうかどうかが事前にイメージできるかどうかが重要ですね。
例えば、以下のようになります。
- ユーザーの課題をどのように解決するかを徹底的に考え、実現するために自発的に努力できる方
- 自身の経験や技術を文書化するなどして共有する姿勢を持っている方
- 新しい事に取り組むのが好きな方
- ユーザー体験を考え、その体験をしてもらうにはどんな UI が最適かを考える事が好きな方
- より良いサービスを実現するためにも、プロトタイプをどんどん作り捨てることを厭わない方
すごく具体的かつ、どんな人を求めているかすっと入ってくる内容ですね。そう、 Cookpad さんの Android エンジニアの求人です。
詳細はこちら
https://cookpad.wd3.myworkdayjobs.com/ja-JP/jobs/job/-/Android—_R-000145
ちなみに、エンジニアが好まない言葉が多い求人も要注意です。
「バイタリティ」とか「数値目標」といった営業サイドが好きそうな単語が多用されている会社は当然、エンジニアに営業的なメンタリティを過剰に求めてきたりします。
6. 表現が正確で、専門家の目線が入っているか
JavaScript の使用経験
とあった時に、以下のようにもっと具体的なスキル書いたらわかりやすいのに、と思うところがあります。
React と Redux などの Flux アーキテクチャを利用した JavaScript ライブラリの使用経験
しかしながら、これくらい詳しい内容は現場のエンジニアじゃないと書けないですよね。
現場のエンジニアが十分な長さの文章を書いていれば、実際に欲しい人材にマッチする可能性が高くなりますので、良い求人と言えそうです。
また、エンジニアの方にヒアリングしていると「JavaScript」と「javascript」など大文字小文字を間違えて書いている会社もエンジニア理解が低い可能性があり要注意だそうです。
7. 仕事の魅力が具体的に書いてあるか
当たり前ですが、企業には転職者をモチベートしてほしいものです。
そのためにも
- この仕事を通してどんな体験が得られるのか
- この仕事を通してどんな能力が得られるのか
を具体的にイメージできている会社やその部門は魅力的なことが多いです。
例えば弊社だと以下のように書いたりしています。
また、Findy では自然言語処理や統計的機械学習を使って開発したAI求人票サービス「Findy Score」もリリースしています。これらのサービスを通して、新しい技術の活用に興味・関心のあるエンジニアにとっても挑戦しがいのあるスタートアップです。
もっと、魅力的に書けそうですね!w 書いたの僕ですがw
8. 開発環境が書いてあるか
最後に、求職者はどんな事を気にするのか、という視点を企業側が持っていれば、開発環境が記載されています。逆に記載がない募集要項を出している企業は、その時点でそっと閉じましょう。かなりの角度でエンジニア理解の低い会社です。
具体的に、
- 言語
- フレームワーク
- ミドルウェア
- インフラ
- エディタ
- 開発手法
- 人数
などなどです。
チェックリスト
最後に、チェック項目をいくつか作ってみたので、気になる求人がある場合に確認してみてください。
1. エンジニアの職種はちゃんと分類されているか
2. 募集要項を出した背景が具体的に書かれているか
そもそもなぜこの事業をやってるのか
そもそもなぜこのタイミングでこの求人出したのか
現状のサービスのフェーズは?立上げ期なのか、拡大期なのか
他社と違ってどういうところに強みあるのか
エンジニアリング周りでの強みや面白さはどこにあるのか。
3. 仕事内容が具体的に書かれているか
4. 必須スキルや歓迎スキルが明確になっているか
5. 求める人物像が具体的に書いてあるか、エンジニアが嫌いな内容になってないか
どういうスタンスの人を求めているのか
エンジニアが嫌いな言葉が多すぎないか
6. 表現が正確で、専門家の目線が入っているか
7. 仕事の魅力が具体的に書いてあるか
8. 開発環境が書いてあるか
言語
フレームワーク
ミドルウェア
インフラ
エディタ
開発手法
人数
おわりに
以上いかがでしたでしょうか?
昨年に続き、募集要項の重要性とチェックした方が良い内容を書いてきました。
簡潔に言えば、募集要項は詳しく、正しく、わかりやすく、オリジナリティを持って書かれている事が重要です。
あくまで具体的だから良い企業が完全に成り立つわけではないですし、自分にマッチするかはまた別です。実際に面談や面接などを繰り返してわかる部分もあります。
しかしながら、募集要項を読み込むことで無駄な応募や面接を自分も企業も減らすことで転職の効率化ができると思います。
軽視しやすかった募集要項についても、応募先はきちんと書けている企業かどうかを自分の中の転職の指標に入れてみてはどうでしょうか。
よい転職を!
読んで頂きありがとうございました! 宜しければ、エンジニアの皆様はFindyでご自身のスキル偏差値を測定してみてください。
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東京大学 情報理工学系研究科 創造情報学専攻(*)卒業後、グリーに入社し、フルスタックエンジニアとして勤務する。2016年6月にファインディ立上げに伴い取締役CTO就任。
*大学院では、稲葉真理研究室に所属。過去10年分の論文に対し論文間の類似度を、自然言語処理やデータマイニングにより内容の解析を定量的・定性的に行うことで算出する論文を執筆。